日帰リッチ東京旅②

< 東京都現代美術館にて >
・行き届いたムラ。長すぎるステートメント。ほんとうにかきたくてかいたのかなあ。
・たぶんだけど、描けば描くほど手がこみいって画面がカオスになっていってる。
・彼にもルールがある。
・なにかを探している。
・色えんぴつの使い方が好きだ。
・すごい!絵画が息をふきかえしている!
・不思議なんだけど、いいと思った絵を、ふりかえってもう一度見てみると急に壁と一体化して何かが損なわれる時がある。たぶんこれ、絵の具の透明感やスライムみたいな質感を眼に入れる気持ちよさがはぎ取られた絵があらわになるってことなのかな。
・こんにゃくみたいな絵におぼれそうだ。
・かんぺきなちつじょ。



美術館から最寄りの駅まで歩く。公園の中にカモが2羽いた。
チャリに乗った親子が、そのヨコを通りすぎる。お父さんが息子に「ふたりのガックさんがいるよ 」と言っていた。


来る途中にみかけたケバブ屋さんに立ち寄らなかったせいで後半の予定がひっくりかえった気がする。
そんな大げさじゃないとしても、今日における人生の分岐点は完全にケバブ。


少し腹が減ったまま、先輩のグループ展に到着。話が盛り上がって、わたしはとってもおなかがすいた。ギャラリーは古民家を改装した2階にあって、一階は本に囲まれたカフェになっている。せっかくなので下に降りて空腹を満たすことにした。 
本棚には旅にまつわる本がずらりと並んでいて、全く好きになれない絵柄の冒険漫画を読んでみたり、した。10種のスパイスカレーがほんとうに美味しかった。しかし店主さんとなかなか話が噛み合わず、わたしの注文ミスも相まってカフェを出る頃にはちょっとした迷惑客になってしまった気がする。
外にでたら陽のあたりがやさしく、風の温度が下がっていて、帰るまであまり時間がないことを悟った。

足早に次の目的地に向かう。せっかく東京に来たから、おばあちゃんに会いに行こう。
ここから武蔵小金井駅まではそんなに遠くない。さっと会って東京駅に戻れば19時の新幹線には乗れそう。バラも買っていかなくちゃ。
武蔵小金井駅に着いた時はもう18時を過ぎていたけれど、Googleマップで検索したらまだ営業中の花屋が近くにあった。狭い店内の奥から出てきてくれたのはおじいちゃんしかかけないメガネをかけたおじいちゃんだった。手際よくバラをカットしてちょっとした花束にサッと仕立ててくれた。んー、おじいちゃんというよりはおじいさまかもしれない。おじいさまから花束を受けとってお礼をいうと、おじいさまはメガネを左手でクイっと下げながら、「ありがとうね」とシワの多い笑顔をかえしてくれた。なんて紳士な仕草なのだろう。あのおじいさまにとってはメガネが帽子がわりなんだ。


どんなにちっちゃい花束でも、持っているだけで気持ちがシャンとする。おばあちゃんは喜んでくれるだろうか。本当は油絵の具とふでを持っていきたかったのだけど、次はそうするよ。うろ覚えのみちをぐんぐん進むと、見覚えのある墓苑が見えてきた。
あれ?え、門が閉まっている。そんなまさか、墓に営業時間があるものかと焦って調べると、墓苑はとっくに17時でしまっていた。
目の前におばあちゃんのお墓があるのにこれ以上近づけない現実を受け止めきれない。門の高さが低いので、色々考える。19時の新幹線が刻々とせまってくる。  帰るか…。

急ぎ足で駅に引き返しながらも、やるせない気持ちが足を重たくする。近くにおじいちゃんちがあるんだよなぁ。
次の交差点でまっすぐ行けば駅に着く。右に曲がればおじいちゃんちがある。でもおじいちゃんちによったら19時の新幹線に間に合わない。

分かれ道の交差点で信号待ちをしながら、わたしはおじいちゃんちでおばあちゃんに手を合わせることにした。


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