東京10時間旅行

6:00、東京駅で高速バスを降りた。
皇居の周りをランニングしている人に混ざりたいと思って、どうにかこうにか皇居にいちばん近い丸の内中央口をみつけだした。
噂では聞いていたけど、本当に人が皇居周りを走っている。その中に混ざる。
わたしはトロく歩いているので、みんながピュンピュン追い越してくれる。 みんなのお尻がプリプリゆれる。

朝のビル街は青く澄んでいて、かなり寒かったけど瞳がうるおった。
ふと愛知県芸の髙橋先生の絵が飛んできて、おなじ青さを感じた。

今日は東京都美術館にゆく。だから上野公園を目指してひたすら歩く。
途中で書店が増えてきて、気づけば右も左も書店だった。ココは神保町というところで「本の街」と呼ばれていることを知って、気が狂ったように立ち並ぶ書店にも納得がいった。時間が早すぎてどこも開いていなかったのが残念。


上野公園に向かいながら、モーニングできる場所を探していたけれど、目につくのはチェーン店ばかりで、なかなかいいお店を見つけられない。調べたら負けだと思い込んでしまいもう後に引けない。根拠のない直感を頼りに突き進んでいたら、いい感じのパン屋を見つけた。でもたぶんフランチャイズされている系だ。いったんは通り過ぎたものの、視線の先に見える御茶ノ水駅からあふれてくる人の数におののいて、きびすを返してパン屋に入った。
トーストされた塩バターパンが至福の味で、ここでよかったと思うことにした。


歩いていて思ったけど、鳥たちと距離が近い。
アキバをとおって上野へ。道の途中でお風呂やさんを見つけた。どのくらいの狭さなのか気になる。

上中(ウエチュン)をとおり抜けて、上野公園の入り口に到着。
もう桜が咲いていた。
人の数。歩く親子、歩く外国人、歩く外国人。みんな生きてる。


都美館を出ると、半そでで歩くお兄さんがいて、嘘かと思った。
次の展示にゆく。そこまでの行き方を見出したので、安心して上野の森美術館の「森の中の展覧会」に寄った。障害者施設ごとに作品が展示されていて、「ささら」の皆さんがかなり良かった。

上野の森美術館を出て、パンダの橋をこえて地下鉄メトロ銀座線の上野駅入口を目指し、着いたホームが渋谷行きなのを何度も確認して乗る。電車通学だった中学生の頃、いつも通りの電車に乗ったつもりが間違えていて、見知らぬ駅で降りたときに強烈な不安を感じたのがプチトラウマなので、今でも電車に乗るときは無駄に確認してしまう。

東京に着いて6時間経って、はじめて電車に乗る。今回は狂ったように歩いている。せっかくsuicaに2,000円をチャージしてきたのに…と思うけれど、わたしは根っからのあまのじゃくなので仕方ない。
あと今日はすこぶる天気が良い。

山登りが好きそうな外国イケオジを横目に20分程電車に乗った。
外苑前駅で降りて、地図を確認しながら次の展示会場に向かう。休みだった。

ショック。なんで事前に確認しなかったのだろう。
休みなものは仕方がないので、また歩くことにした。池袋方面へてくてく。
もうお昼だから何か食べようと思って、並ぶ飲食店をのぞいてみる。良いと思っても金額とか雰囲気で迷ってしまい、また歩き出すということを数回繰り返した後、わたしの昼食は突如現れた。
パニーニ専門店。TAKEOUTのみ(たぶん)の小さいお店で、入りやすく、何よりパニー二 だあいすき。
それにしても値段がすごい。結局どこのお店も割高なのだと自分をなぐさめて、アンチョビポテサラオリーブのパニーニと、自家製レモネードを注文した。


買ったはいいものの、食べる場所に困る。
地図を見ると、近くに新宿御苑が待ち構えていることを知り、行ったことがないなぁと思って行ってみることにした。
向かう途中、うしろで母親らしき女性とその息子が歩いていて、おかあさんが、あなたのことを思ってという名の自己満説教をえんえんとまきちらしていた。息子よ、ふぁいと。

新宿御苑に着いたらなんと有料!少し迷ったけど入ってみたいしパニーニも食べたいし入場した。
結論、お金を払うべき整備された素晴らしいところでした。

ひとり用にみえた小さなベンチを選んで座り、やっとパニーニをほおばることができた。しばらくして隣のベンチに座ったおじさん(もしかしたらお兄さんだったのかもしれない)は公園の景色をつまみにビールを飲んでいる。その隣のベンチでは外国人2人組が何かの撮影をしていた。「ビューティフル〜」とかきこえてきたから、新宿御苑の紹介?観光ムービーを撮っているのかなと思ったが、そんなにやり直す!?と思うくらいTAKEがかさんでいた。

15時前、上着を脱いでも暑いほど暖かい気温が少し冷えてきて、いよいよ帰りの高速バスが来る新宿駅に向かうことにした。新宿御苑て、とてつもなく広いので、出口を間違えると致命傷になりそう。
新宿駅に一番近い出口を目指して歩いていたら、公園内の経路案内看板に「温室500m➡︎」が追加されているのを見つけてしまった。16時のバスに乗り遅れる不安と0,5秒、葛藤したのち足は温室に向かっていた。

温室の中はしっとりしていて温かい。でもそのぬるくこもった空気が少し苦手だった。はやくでようと思っても、経路は一方通行で混雑していて、抜け出せた頃には15時15分をすぎていた。
おとと〜?と思いながら少し早歩きで駅に向かう。駅までの道のりが遠くていよいよ焦った。乗る電車やバスの乗車場所をいっかいでも間違えたらゲームオーバーだ。
ここ一番の集中力でなんとかバス発車10分前に着いた。
いや全然余裕やん。と思いつつ、まだ10分前を余裕と思っている自分にあきれた。

16:00、バス発車。さようなら東京。ありがとうと思った。
東京にくると、誰でもこの世界であるいていいと思えるし、さえちゃん(わたしのおばあちゃん)のことを近くに感じることができるし、魅力的な景色が無限にある。人混みがすごく苦手だから東京はすごく嫌いだったのだけれど、今回は東京をいいなと思った時間だった。

これでわたしの東京10時間ひとり旅のおはなしはおわりです。
2025.03.09


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“東京10時間旅行” への1件のコメント

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