カテゴリー: ことばの発酵

  • さかなが飛び跳ねる 2024

    4月12日
    いい作品は作れるのか。あるいは、いい作品に擬態することなくいい作品はつくれるのか。そもそも、いいとはなんだろうか。いい作品を目にした時、猫のように瞳孔がひらくは確かなんだけれど。

    5月4日
    没頭することについて。考えたいことが滑らかに進行し、ひらひらとその表裏を見せながら落ちて、雪みたいに溶けて消えてゆく。ただ淡々と、繰り返される。

    5月8日
    イメージの回避は、もしかしたら具象でもできるのかもしれない。具象をもって具象を破壊するの。相殺してのこるのは空気だけみたいなこと、できると思う。

    5月12日
    刺繍。既存のものから生成される、新たな質感。瞬間的に繰り出される選択の積層による変身、変容。それは表面に微かな歪みを生じさせ、愛ある質感として生まれ変わる。

    5月14日
    質感はときに、イメージを飛び越える。

    5月18日
    真実を見ようとすればするほど、焦点が合わなくなって、目の前で2つのモノがただゆらめいている。

    6月27日
    端と端を、振り子が行き来するように、わたしは生きている。その行き来を包み込むような、ひとまわり大きいフレームは、どのようにして入手可能だろうか。

    7月12日
    もっと大事なことがある。もっと大切なモノがある。わたしはそのことを知っている。でもまだ気づいていない。

    8月6日
    あと少しなの。それはついでに洗濯機を回すくらいの、あと少し。それは気持ちの持ちようで簡単に出来てしまうけれど、いつまでも出来ないでいるような、あと少し。だから少し手ごわい。

    8月30日
    わたしもあなたも、きっと何も変わっていない。変わったのは、視界や角度、反射みたいなものだ。

    9月14日
    自分の生を、他人の生を、地球の生を自覚する瞬間。それは決して元に戻らないスイッチを押すのと同じで、世界の見え方さえ変わってしまう。それは果たして祝福なのか、絶望なのか。

    9月17日
    ふたつのものがひとつになるのは気持ちいい。ひとつのものがふたつに分かれるときも、気持ちいい。

    9月23日
    今日、急に秋になった。いい匂いがする。木々も空もみんな、汗をかくのをやめた匂い。

    10月15日
    身体が思考の言いなりにならないように気をつけなきゃいけないね。

    10月26日
    案外、ゴールにたどり着こうとするより、見失わないようにするべきかもしれないね。大抵の場合は、たどり着けないんじゃなくて、通り過ぎてしまうから。

    11月6日
    絵ではなく刺繍をするのは、描かれた線の、あるいは面の、その細部が知りたいからだと思う。刺繍はそれができる。

    12月5日
    そうかわかった。自分の輪郭をぼやけさせることが大事なんだ。

    12月22日
    気づくことと知ることは全くの別物だよなあ。知るっていうのは作業に近いもので、でも気づくことは自分自身がそれによって変化するくらいのでっけえやつ。気づいた物事が、べちゃあ、うにゅ〜って身体に溶けこんで、自分の一部になる感じ。身体が上書きされる感じ。きっと、気づくとは変身すること。




  • ちかくてとおい

    ちかくてとおい

    死に損なったあなたを見つけて、ぎゅうと抱きしめた。

    両うでで包みこんで、あなたの実在をたしかめる。

    少しゴワッとした、でもしなやかな髪質を手に感じながら、もう一生あなたを忘れないように。

    手のひらが眼になる。確かなあなたの感触。

    これが夢だと気づかなかったのは、このたしかな感触のせい。

    夢の中で目をとじてしまったからかなあ。